糖尿病とは、インスリンの作⽤不⾜によって慢性的に⾼⾎糖状態が持続する症候群のことをさします。
平成28年の国⺠健康・栄養調査によると⽇本⼈の4⼈に1⼈がすでに糖尿病またはその予備軍と⽰されています。
それに伴い過剰に増加する癌症例は、男性で26.5 %、⼥性で53.2 %それぞれ増加することが予測されています。
糖尿病を治療しなければならない理由は、糖尿病による合併症を起こさないうようにするためであり、すでに合併症がある⽅は、それを今以上悪くしないためです。糖尿病は、初期にはあまり症状のない病気ですが、ひとたび合併症が出てしまうと、さまざまな不都合を⽣じます。 たとえば、感覚が鈍くなり低温やけどやケガに気がつかなかったり、感染症を起こしやすくなり、癌、認知症、便秘、⾻折、無呼吸症候群などの原因にもなります。
●禁煙(Smoking cessation)
●⾎圧管理(Blood pressure control)
●メトホルミン(Metformin therapy)
●脂質管理(Lipid reduction)
●⾎糖管理(Glycemic control)
糖尿病患者の死因トップ3
1位:がん / 2位: 感染症 / 3位: ⼼⾎管疾患
糖尿病の臨床診断のフローチャート
⽇本糖尿病学会 編: 糖尿病治療ガイド2022-23
診断基準として⽇本糖尿病学会のものを⽰します。空腹時⾎糖≧126 mg/dLかつHbA1c≧6.5 %であれば、糖尿病の診断となります。
他⽅、HbA1cが糖尿病型でなくても、別の機会に測定した空腹時⾎糖が⾼値であれば、糖尿病の診断となります。
糖負荷試験(75g OGTT)は、⾎糖検査のなかでは糖尿病診断に対する感度が最も⾼いとされます。
インスリン分泌の状態や、Ⅰ型糖尿病の有無、早期腎症の有無を評価するために以下の測定をします。
⾎中Cペプチド値<0.6 ng/mLの時、インスリン分泌能低下を考えます。
空腹時⾎中Cペプチド(ng/mL)/空腹時⾎糖(mg/dL)<0.8で、インスリン治療を考慮します。
Ⅰ型糖尿病の時に陽性となります。
陽性の場合は治療の緊急性があり、⾼度のインスリン分泌能低下を⽰唆します。
微量アルブミン尿が認められる糖尿病歴5〜15年の間は早期腎症期といわれ、この時期に早期介⼊することによって透析を回避できる可能性が⾼いとされます。
⾼齢者以外は < 7.0 %
BMI ≧ 25 kg/㎡の肥満があれば、まず5%減量
⾜部評価、⽪膚科と連携
年1回 眼科受診、眼底検査
年1回 微量アルブミン尿の検査
診察室⾎圧 ≦ 収縮期130/拡張期80 mmHgを⽬指す
LDL < 120 mg/dL
禁煙のみ
肺炎球菌、インフルエンザ、新型コロナ、帯状疱疹
⻭周病と糖尿病の悪循環
J Am Coll Cardiol. 2018 PMID: 29929608
⽣活指導と⼼⾎管疾患関連死亡率・発⽣率の有意な低下が証明されています。経⼝薬やインスリンよりも⾷事運動療法がまず優先されます。
BMI22を目標として標準体重を定め、以下の式から総エネルギー摂取量を算定する。
※75歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、フレイル、(基本的)ADL低価、併発症、体組成、身長の短縮、接触状況や代謝状態の評価を踏まえ、便宜判断する。
「ベジファースト」とは、その名の通り野菜(ベジ)を最初に食べる(ファースト)ということです。
⾷物繊維は炭⽔化物の⼀種ですが、消化できずに⼤腸まで到達します。
糖質の吸収速度を抑え、⾎糖値の上昇と低下がともに緩やかになります。結果的に、⾎糖値の乱⾼下を防ぐ効⽤があります。
「加⼯⾷品」(Processed Foods)とは、スーパーに⾏くと真ん中付近に、袋や箱で販売している⾷品です。
⽶国糖尿病学会(ADA)によると、加⼯⾷品とは「糖分や脂肪、塩分を含む加⼯済みの⾷品で、加糖、⾹味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、⼯業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり、⽇持ちを良くしてある⾷品」のことです。
▼⾷パン、▼菓⼦、▼麺、▼ピザ▼ハム・ソーセージ・サラミ▼ミートボール・チキンナゲット、▼ ポテト、▼アイスクリーム、▼ミルクシェイク・カスタード、▼ジュースなどがあります。 こうした⾷品を習慣的に⾷べると、肥満、2型糖尿病、⾼⾎圧、脂質異常症、⼼臓病、がんなど、さまざまな健康障害が起こることを⽰した研究が増えています。
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation
DOI:10.1016/j.apmr.2023.10.005
運動は、有酸素運動と抵抗運動を両⽅⾏うことが基本です。有酸素運動 週75分と抵抗運動 週3回の両⽅を、習慣づけましょう。
2型糖尿病の第⼀選択薬はメトホルミンです。
近年、⼼⾎管疾患リスク抑制効果と安全性からSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の科学的根拠が蓄積され、⽶国糖尿病学会ではこれらの薬剤も第⼀選択薬となり得るとされています。⼀⽅で、社会⼼理的背景や合併症はそれぞれ異なるため、テーラーメードな治療の提供が必要です。