高血圧

高血圧治療の目的

高血圧を治療することにより、高血圧が引き起こす可能性のある脳疾患・心臓疾患・血管疾患(脳卒中・心筋梗塞など)や腎機能悪化の予防を目的としています。

血圧の測り方

高血圧の診断

血圧は種々の要因で変動します。異なる環境、異なる状況で測定することが必要です。

高血圧による臓器障害

  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 一過性脳虚血発作
心臓
  • 左室肥大(心電図・心エコー)
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 冠動脈再建術後心不全
  • 非弁膜症性心房細動
腎臓
  • 蛋白尿
  • eGFR低値(<60mL/分/1.73㎡)
  • 慢性腎臓病(CKD)
血管
  • 大血管疾患
  • 末梢動脈疾患(足関節上腕血管比低値:ABI≦0.9)
  • 動脈硬化性プラーク
  • 脈波伝播速度上昇(baPWV≧18m/秒、cfPWV>10m/秒)
  • 心臓足首血管指数(CAVI)上昇(≧9)
眼底
  • 高血圧性網膜症
初診時検査
  • 血液検査(糖代謝・腎機能・電解質・肝機能・尿酸)
  • 尿検査(尿蛋白)
  • 心電図
  • (場合により)胸部レントゲン検査

診察室血圧に基づいた脳心血管病リスク層別化

※リスクの層別化を行うことで治療の目安を知ることができます。

降圧の目標

脳心血管病リスクに応じた介入

Ⅰ度高血圧(140/90 mmHg以上)

生活習慣是正 
+ 
【低リスク】 3か月後受診 
【中リスク】 1か月後受診 
【高リスク】 降圧薬開始

Ⅱ度 / Ⅲ度高血圧(160/110 mmHg以上)

生活習慣是正 
+ 
降圧薬 (2剤以上併用考慮)開始 

生活習慣指導による降圧効果

※生活習慣への介入だけで4〜5 mmHgの降圧効果が証明されています。

DASH食とは

DASH=Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、
アメリカで行われた調査・研究からまとめられた血圧の改善に高い効果がある食事のことです。
DASH食には2つのポイントがあります。

肉類や砂糖を減らす
具体的には加工食品をやめる。肉類から魚類に切り替えて不飽和脂肪酸を増やし、飽和脂肪酸・
コレステロールなどの脂肪摂取を減らすことです。

野菜や海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物を十分にとる
塩(ナトリウム)を排出する働きのあるカリウムをはじめ、カルシウム、マグネシウムのミネラルを多く含む果物、食物繊維を多くとることで血圧を下げる効果が期待できます。
野菜を毎食とり、ミネラルが効率よくとれる大豆製品、アボカド、ブロッコリー、ナッツ類を積極的に摂取します。

減塩のポイント
  • 食事をつくるご家族に、一緒に来院していただく
  • ドレッシングを、酢やレモン、オリーブオイルに変える
  • 漬物・梅干しをやめる
  • 塩をコショウに変える
  • みそ汁、スープ、煮汁を飲まない
  • 間食をやめる
  • 外食を減らす
  • 味見を減らす

降圧薬の種類と効果

ARB
アンジオテンシンⅡ
受容体拮抗薬

「~ サルタン」テルミサルタン、カンデサルタン、アジルサルタンなど

  • よい適応:糖尿病・慢性腎臓病・心不全
  • 利点:副作用がすくない
  • 副作用:高カリウム血症、オルメサルタン関連腸炎
  • 禁忌:妊婦、両側腎動脈狭窄
CCB
カルシウム受容体拮抗薬

「~ ジピン」アムロジピン、ニフェジピンなど

  • よい適応:脳血管疾患慢性期、左室肥大、狭心症
  • 利点:確実に降圧
  • 副作用:浮腫、便秘、逆流性食道炎、動悸、頭痛、ほてり
  • 禁忌:徐脈
サイアザイド系
(類似)利尿薬

「~ チアジド、~ミド」トリクロルメチアジド、インダパミドなど

  • よい適応:塩分摂取量・酒量が多い高血圧、心不全
  • 利点:骨量低下の予防
  • 副作用:高尿酸血症(痛風発作)、低マグネシウム血症、耐糖能異常、高中性脂肪血症
  • 禁忌:低ナトリウム血症、低カリウム血症、腎機能低下
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